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JNDTに出場するまで

高橋剛弘(明海大学ESS3年チーフ)

初出: 2002.6.5




多くの否定側第二立論担当者がすでに気付いている通り、今期の論題の特に無国籍児に関して、考えられるDA(デメリット)がつかないという状況にある。無論、暴動や医療事故などはあるのだが、私は無理矢理DAをこじつけている気がしてどうにも嫌だった。「否定側第二立論ですることがない」これがJNDT(Japan National Debate Tournament)に出るにあたり最大の問題だった。

では何をするか?DAがない以上、カウンタープランかトピカリティー…どうにも納得のできる物はない。JNDT出場3週間前のことである。私は何もすることがないなら、せめて好きな事、やりたい事をやろうと考えた。それはかねてから疑問に思っていた、国籍取得要件の緩和というのは極論すれば戦時中の皇民化政策に通じるものはなかろうか?ということである。日本人になったら助けてやる…この私の頭に出てきた疑問を具体化することで、ディベートはできないのだろうか…。これが私を悩ませる続けたクリティーク(Kritik:議論の前提となる思想、議論の手続き、議論の現実への帰結などを問う議論)の初期段階だった。

悲しいことに私はクリティークに関する知識は皆無といっても良かったから、ゼロからのスタートになってしまった。何故クリティークは勝敗を決する争点(Voter)となりうるのか?ジャッジは何に投票できるのだろうか?AD(メリット)とDAの比較(Net-Benefit)を超えた考え方とは何だろうか?疑問が止むことはなく、疑問に答えが出てくれば新しい疑問が生まれる。この繰り返しで議論を作っては壊し、また作り直して壊す…これを繰り返し続けた。

私一人の頭ではすぐに行き詰まるのでジャッジの方やクリティークに詳しい方にも連絡をさせて頂いた。その助けが大きかったのだろう、漠然とした「疑問」はゆっくりとではあるが、確実に「意見」というものに変わっていき、最終的にはちゃんとした「議論」に発展をしたくれた。もちろん詳しい方から見ればまだまだ発展途上ではあると思うが…。しかし私はこのクリティークを試合に出せたことが何よりも嬉しかった。

JNDTでは優勝できた。大変嬉しいことである。しかし本当言うと優勝なんてどうだってよかった。私がこのJNDTで得た最も大きなものはクリティークに頭を悩ませ続けた、という勲章だと思っている。そしてこんな突拍子もないことを笑顔で許してくれたパートナーの須田君と、色々教えてくださったジャッジの方、いきなり質問をしても分かりやすく教えてくれた瀬能さん(上智大学卒)と臼井さん(早稲田大学卒)に心よりの感謝を表し、この駄文の終わりとさせていただきたい。本当にありがとうございました。

(たかはし たけひろ)



JNDTで印象に残った試合

須田雄介(明海大学ESS3年渉外)

初出: 2002.6.5




まず、明海大学ESS Dolphinsが肯定側に立った試合で最も印象に残った否定側のチームは、上智大学でした。それは上智大学が春の二人制ディベートで優勝し、JNDT(Japan National Debate Tournament)関東予選をぶっちぎりの点数で全勝突破したことが、Dolphinsの闘争心を喚起したからです。

Dolphinsはトリッキーな新しいケースでシーズンを乗り切るということはあまりありません。基本的にモデルにある最もスタンダードなケースを用います。しかしモデルをそのまま出したのでは、勝てるわけがありませんから、必ず他のどの大学も気付いていなくて自分だけが気付いている強い分析(Analysis)を最低一つは入れてそこを軸に立論を構築していくようにしています。

さらに、今期の論題の下では、「無国籍児童」というとてもマイナスの議論(デメリット)が付きにくいケースがスタンダードなものとして出回っていたので、さらに否定側からのマイナスの議論も付きにくいようにという点に苦慮して立論のプレパレーションを進めていました。実際、全試合を通じてマイナスの議論を決定的につけられた試合は無いので、立論におけるプレパレーションは取り敢えず、成功したと思います。

ですから、上智大学との試合が最も印象に残ったのは、相手の素晴らしいスピーチ力でした。上智大学の斉藤さん、森さんがよどみの無いスピーチでぽんぽんと論点を出していくため、精神的なプレッシャーを感じたものです。優勝はしたものの、明海大学は個人賞を逃していることからもわかるように、反駁におけるプレパーションにおいて後期へ向け課題を残しているなと実感させられた試合でした。

Dolphinsが否定側に立った試合で最も印象に残ったのは大阪府立大学による中国残留孤児という新しいケースでした。前日にベスト12(JNDT本選の第1回戦。上位4チームはシードになる)の試合を観戦していた時は、勝利への糸口が全く見つからず呆然としたものです。実際、一番勝つのが難しく、負けているとしたらこの試合だったかなというのが、この大阪府立大学戦です。

この際はDolphinsのメンバーはもとより、引退してまで強力にこの日のプレパレーションのリーダシップを発揮してくれた白石さん(明海大学)、多くの助言と協力を頂いた筑波大学の三島さん、涌沢君、松本さん、一橋大学ISの高瀬さんに感謝しています。パートーナーである高橋剛弘と組むのは実に1年ぶりでしたので1試合勝ち進むごとにわくわくしたものでした。貴重な体験を持てて幸せです。

(すだ ゆうすけ)

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